Journal
鞄に辞書までつめこんで2020.06.03
頭ぶよぶよ。
突然だが、私は猫舌ではない。
熱い料理も、出されたままの温度で食べることができる。
ファミレスで提供時に伝えられる「こちら、大変お熱くなっておりますのでお気を付け下さい」も、ノープロブレム。
そのままLet’s一口目だ。
ずっと、自分は熱に対して無敵だと思っていた。
しかしある日、その間違いに気づくときがやってくる。
*
20代後半のことだ。
当時働いていた職場でパソコン作業をしていたところ、
後ろを通った同僚が「ナカオちゃん、頭ぶよぶよだけど大丈夫!?」と言った。
後ろを通った同僚が「ナカオちゃん、頭ぶよぶよだけど大丈夫!?」と言った。
頭ぶよぶよって何!?
人生で初めての表現に戸惑う。
周りにいた人も気になったようで、作業を中断してみんな私の頭に集まってきた。
「ほんとだ!ぶよぶよだ!」
だからぶよぶよって何!?!?
それぞれの意見を組み合わせたところ
「髪の毛で見えづらいけど、まだらに赤くて、一部の皮膚がぶよぶよになっている」らしい。
「髪の毛で見えづらいけど、まだらに赤くて、一部の皮膚がぶよぶよになっている」らしい。
角度的に自分の目で見ることはできなかったけれど、
促されて触ると、確かにいつもよりやわらかい感じがしなくもない。
促されて触ると、確かにいつもよりやわらかい感じがしなくもない。
最近は髪も染めていないし、なぜだろう。
思い当たる原因はないのかとしばらく尋問が続くが、イマイチな感じのままみんな作業に戻っていった。
*
その日の夜、シャワーを浴びようとお湯を出すと、少し熱い気がした。
頭ヤバイし温度下げた方がいいかな~と考えながらしばらく浴びてみる。
……いやこれ、熱いなんてもんじゃない。めっちゃ熱い!!
ありし日の熱湯コマーシャルレベルで熱い!!やべえ!
すっぽんぽんのまま浴室を出て温度を確認すると、設定温度は43度になっていた。
試しに45度に上げて再びシャワーを出すと、まったく同じ温度のお湯がでてくる。
50度でも、体感的には同じ温度のお湯が出てきた。
50度でも、体感的には同じ温度のお湯が出てきた。
その瞬間、頭ぶよぶよの原因が判明した。
「これ火傷や!」
「これ火傷や!」
シャワーの温度が激アツで頭全面的に火傷していたのだ!
よく見ると太もももめっちゃ赤い!!
よく見ると太もももめっちゃ赤い!!
ちょっと熱いぐらいの温度が好きな私は、
その家に引っ越してからの半年間、
毎日43度設定でシャンプーやらコンディショナーやらを
洗い流していたけれど、恐らく流れ出るお湯は43度ではなかったのだろう。
頭皮が限界を超えて、ぶよぶよになっていたのだ。
毎日43度設定でシャンプーやらコンディショナーやらを
洗い流していたけれど、恐らく流れ出るお湯は43度ではなかったのだろう。
頭皮が限界を超えて、ぶよぶよになっていたのだ。
ドライヤーで髪を乾かしながら、
「でも何で今まで気づかんかったんやろ」と
思いを巡らしていると、あることに気づく。
そういえば、私は熱いモノを食べたあと、
いつも口の皮がベロベロになっているような。
さらにいえば、熱いモノを飲んだあとはいつも食道が激痛のような。
胃もイテテってなっているような……?
胃もイテテってなっているような……?
!!!!
私は熱に対して無敵なのではない。
体はしっかり熱を感じ、きちんと傷ついている。
体はしっかり熱を感じ、きちんと傷ついている。
熱に対する感覚がとんでもなく鈍感なだけだったのだ!!
だからシャワーの温度にも気づかない!
ただのアホでは!?
ただのアホでは!?
20年以上も破壊と再生を繰り返させてしまった
口腔内の皮膚や食道や胃の内側たちに対して、
一晩中あやまりたおした。
*
翌日からしばらくの間、
同僚から頭をチェックされるのが日課になったが、
記憶が正しければ、一週間ぐらいでぶよぶよはひいたはずだ。
同僚から頭をチェックされるのが日課になったが、
記憶が正しければ、一週間ぐらいでぶよぶよはひいたはずだ。
それ以降、私の生活は比較的熱に対して保守的になったので、
もうきっと、頭はぶよぶよにならないだろう。あの日、私の頭に注目してくれた彼にはとても感謝している。
もしあのとき、誰もぶよぶよに気づいていなかったら、
今頃、マジで体の一部が溶けていたかもしれない。
もしあのとき、誰もぶよぶよに気づいていなかったら、
今頃、マジで体の一部が溶けていたかもしれない。
まあたまにうっかり、
店員さんの「熱いから気をつけろ」という忠告を守らず、
口の中がベロベロになっていることはあるけれども。
現在も食道の入口あたりをやらかしており、
食べるものすべてGO!TO!HELL!!状態だけれども。
食べるものすべてGO!TO!HELL!!状態だけれども。