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えんぴつころがし2015.11.13

組織化 or 孤高? 迷えるフリーランサーへのヒント

ども。代表の森田です。
相当に久々のブログ更新です。

既にニュースページでもお知らせしたように、
約5年間にわたってRockakuで活躍してきたまるやまが退職し、
入れ替わりで3ヶ月の試用期間を経た中尾奈津子が新たに加わって、
森田 ・ 船木 ・ 中尾の3名体制がスタートしています。

船木も今年の2月入社なので、僕以外の社歴が極端に短い状態になりましたが、
そこはキャリア採用のふたりなので、めきめきと力を付け、
がんがん仕事をこなしています。
頼もしい限りです。マジで。


そんなわけで、エースまるやまが去ったRockakuは、
それでも、わりと順調に前進する見通しが立ってきました。
ここに至って思うことは、僕も多少は管理職として成長できたのかな。
ということです。

思えば、今から5年前、限界ギリギリの仕事量を抱えたフリーランスだった僕は、
ある決断を迫られたわけですよ。

「このまま一人で、独りを続けていくのか?」

それは、おそらく、フリーランスとしてある程度まで走って行けば、
ほぼ確実にぶつかる問題です。

僕はこの問題に対して、深く考える前にまるやまという「答え」に出会いました。
あんまり悩む時間がなかったことは、正直、よかったのだと思います。
この出会いが、今の「チームとしてのRockaku」の原点になったと言えるでしょう。

でもまあ、これは自分で言うのもアレですが、本当に運がいいケースです。
いままさに、この先、組織化するか、孤高の道を究めるか・・・と、
真剣に悩んでいるフリーランスの人って多いんじゃないでしょうか。

そんなみなさんに対し、僕は「答え」を提示することはしません。
代わりに、こんな「問い」を投げかけます。


◎Q1:成果物は全て自分がつくってなくちゃ気が済まないタイプ?
◎Q2:自分がやった方が速い!と思っても手を動かさないでいられる?
◎Q3:部下の手柄を喜べると思う?
◎Q4:自分の仕事のやり方を論理的に説明できる?


はい。答えはすべからくNoなんじゃないでしょうか。
それで正しいです。まちがっていません。
なぜなら、キャリアを積んだフリーランスのほとんどは、
管理職としてのスキルと経験がないからです。
(元部長とかもいるでしょうけれども)

つまり、今ある認識なんて、全くあてにはなりませんし、
あてにしなくて良いんです。
だってスキルと経験がないんだもの。

だから、「おれは一人の方が性に合ってる」なんて決めつけるのは、
ちょっともったいない!と思うんですよ。
僕は、人と組んで、人を育てていくことって、
すごく魅力的なことだと感じてきましたし、今もハッキリとそう信じています。

あなたが一人でやってきた仕事に新たなメンバーが加わることで、全てが一変します。
もちろん、いろいろ苦労も増えますけど、苦労ばかりじゃありません。

例えば、今、30代前半のあなた。10年後は40代前半です。
いまお付き合いしているクライアントの担当者さんが、今と同じ部署にいる保証はありません。
パートナーとして動いてくれている制作会社の社員さんたちが、出世して、
若手に仕事を引き継いでいったら・・・当然、その若手たちは、
自分たちと同年代のクリエイターと仕事をするようになっていくことだってあります。

実際、僕は独立して8年経ちますが、
創業当時からつきあいがあるディレクターさんたちが現場を離れ、
その部下と、僕のスタッフとで案件を回していくようなことも増えてきました。
これはまあ、とても喜ばしいことですが、僕の側に若手のスタッフがいなかったら、
ちょっと悲しいことになっていたかも知れないことは想像に難くありません。

あと、ご存じの方も多いでしょうが、僕はこの夏、交通事故に遭い、
1ヶ月近く入院生活を余儀なくされました。
このときも、組織化の道を選んでよかったとつくづく感じましたね。
業務的なこともそうですが、精神的な支えとしても、
彼らの存在は本当に大きかった。
「自分がいなくても、1ヶ月くらいなら何とかなる」ということがわかっただけでも、
大きな収穫でしたし、実際、売上げが極端に落ちたりすることありませんでした。

年齢的に、事故でなくとも入院や療養のリスクは徐々に上がっていきます。
そういう点でも、組織化のメリットは大きいと言えます。


逆に言えば、この入院という制限の中で、
僕は管理職としてのスキルを見直さざるを得なくなりました。
病院から一歩も出られない、手が余り使えない・・・という中で、
仕事の流れを切らずに、どう進めるか真剣に考える。
この経験は、僕の仕事のやり方を変え、
同時にスタッフたちの意識とスキルにも大きな影響を与えたように思います。
まあ、いい迷惑だったとは思いますが。

だんだんとりとめもない話になってきてしまいましたが、
ぼちぼち、まとめましょうか。
会社組織から抜けたフリーランスがチームをつくることって、
本末転倒にも見えるかも知れませんよね。

でも、これだけは胸を張って言えます。
組織に戻ることと、組織をつくることは、全く意味が違うんです。

それが絶対にいいことだとも、正しいことだとも言いませんが、
仕事の価値に、自分の価値に、大きな変化をもたらすことだけは間違いありません。

森田 哲生

森田 哲生 | Rockaku代表

1978年/東京都八王子市出身/多摩美術大学美術学部芸術学科卒業
編集プロダクション、広告制作会社などを経て2007年に独立。Rockaku事務所を立ち上げる。コピーワーク、CI計画、コンセプトワークなどを中心に手がけつつ、企業のアドバイザーやセミナー講師などとしても活動中。得意分野は住宅、士業、ネーミングなど。

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