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えんぴつころがし2012.04.04

コピーライターとして独立するために必要なもの&こと

(※2012年4月4日の法人化前夜に書かれた記事です)

あと20時間ほどで「株式会社Rockaku」の社長になる森田です。

フリーとしてやり残したこととか、特にないというか、
まあ、明日から何が変わるのかって、税金くらいなものなので、
例によって、極めてフツーの気分で過ごしているわけですが、
せっかくなので、僕が5年もやっていた、
「フリーランスのコピーライター」という職業について、
書き残しておきたいと思います。
 
 
<コピーライターとして独立するのに必要となるもの&こと>アイテム編
 
【1】パソコン+ネット環境+Microsoft Office
 独立当初使っていたのはiMacG4の21インチだったかな。
 独立するために買ったと言うよりは、「家電」として家にあっただけのもの。
 基本的にはワードでの制作がメインで、
 ちょっと込み入った構成や企画はイラレでやってました。
 後にパワポ派に転向。ネットも元々あったもの。
 正直、最低限のインフラはこれだけです。
 ゼロから揃えても、MacBookAirとソフト足して20万円ってとこですね。
 つまり、経済性に優れた業種だと言えます。
 因みに、常時30本程度の仕事を抱えるRockakuでも、
 半年分のバックアップデータを取って1ギガ未満。
 PCのスペックについても、そんなにがんばる必要は無いです。
 
【2】ICレコーダー
 これもわりと初期は重要でした。
 インタビューは雑誌のみならず、会社案内やWebサイト制作でもわりと
 需要の多い仕事です。2007年頃はMac対応の機種が少なく、
 かつ高額でしたが、今では選び放題で1万円以下で買えちゃいます。
 
【3】屋号
 「森田哲生事務所」みたいなものでもいいのですが、
 正直、余りオススメはできません。
 将来、人を増やすときや、会社化することまで考えると、
 個人名事務所は面倒なことが多い気がします。
 屋号によってネーミングスキルをアピールできますし、
 CIやブランディングを体験的に学ぶチャンスにもなるので、
 僕は屋号をつけることをオススメしています。
 
【4】名刺(をつくってくれる仲間)
 これはとっても大切な事です。
 僕の場合、シェアハウスに住んでいたので、
 同居人のデザイナーがロゴと名刺を用意してくれました。
 これは単に、「名刺が重要」だという話だけではなく、
 少なからず、自分を応援してくれる異業種の仲間がいるかどうか?
 の指標になるという点で、気にしなくてはなりません。
 コピーライターはデザイナーとのタッグがカギです。
 まちがっても、自力でデザインとかしない方がいいですよ。
 プロのクオリティには勝てませんから。
 あと、プリンターで自家製もNGです。
 格好悪いとか、貧乏くさいという以前に、
 フリーである事への「本気度」を見透かされてしまうからです。
 明確な基準とは言いませんが1枚単価で30円以上かけて、
 見栄えも手触りも、ちょっと背伸びしたものをつくることがオススメです。
 
【5】会社員時代のポートフォリオ(とそれを捨てる覚悟)
 当然ながら、営業ツールは必須です。
 とはいえ、最初は個人でやった仕事の実績なんてないでしょうから、
 まずは会社員時代の仕事をまとめましょう。
 一応、守秘義務等の問題はクリアにしつつ。
 で、問題は、この時点でまとめたものを、一日も早く捨てられるように、
 自分の実績で塗りかえられるように、腹をくくることです。
 僕自身、1年か2年は会社員時代の仕事も持ち歩いていましたが、
 今では書架の奥にしまってあります。
 
【6】Webサイト
 これも名刺同様、つくってくれる誰かがいることが重要です。
 僕は名刺をつくってくれた人が、
 実績が貯まってきた頃合いに無償でつくってくれました(※)。
 僕はディレクター業もやっているので、ざっくり見積もりますが、
 おそらく150万円はかかるサイトです。感謝しかないですね。
 こうやって応援してくれるWebデザイナーがいるかどうかで、
 今後の仕事の依頼や、提案、アサインメントの幅も変わります。
 逆に言えば、現時点でそれくらいの仲間がいないなら、
 独立は見送った方が無難なのかもしれません。
 
(※)このブログを書いた当時は現在とは別のサイトでした
 
 
<コピーライターとして独立するのに必要となるもの&こと>スキル編
 
ここからはかなりざっくりですが、
必要な技術や経験についてざっと書いていきましょう。
これは僕のように無名のフリーランスとしての
仕事の需要を示すものでもありますね。
上にある項目ほど重要度が高いです。
 
 
□普通に文章が書ける
□お客様の文章を再構築できる
□既存の文章に見出しを付けて段落分けができる
□薬事法や公取のルールを守ったライティングができる
□インタビュー(ヒアリングシート制作/取材/記事構成)ができる
□メールマガジンの企画構成・ライティングができる
□カタログやパンフレットの企画・台割提案、ページの構成・編集ができる
□デザイナーとの意思疎通ができる
□チラシの設計ができる
□Web構築、サイトマップ、ワイヤーフレームが書ける
□ランディングページの設計ができる
□ネーミング提案とロジックプレゼンができる
□異業種との複合チームでスケジュール管理ができる
□見積書がつくれる
□挨拶文が書ける
□企画書がつくれる
□企業理念の策定ができる
□ブランドや企業のコンセプトを伝える文章が書ける
□ショートストーリーが構成できる
□キャッチコピーが書ける
 
 
・・・正直、キャッチコピー単体だけ書けても、
その周辺にある様々な情報やアイデアを伝える技術と、
それを経済性に乗せるノウハウがないと商売は立ちゆきません。
得意・不得意を問わず、編集技術は不可欠ですし、
Webと紙との差分と普遍性を加味できなければ仕事なんてありません。
 
 
 
<ま と め>
 
コピーライターは、デザイナーやフォトグラファーと違って、
実際の仕事内容があまり世間に理解されていません。
キャッチコピーだけ書く仕事だと考えている人も多いのが実状です。
そういった意味で、常に自己プレゼンが求められ、
受注に落とし込むまでが難しい職種と言えます。
 
また、営業力やディレクション力が必須となるため、
会社勤めのコピーライターとは、
異質な職業にならざるを得ないことも、
覚悟しておいてください。
 
でも、その反面、設備投資やランニングコストが少なく、
経験とツテさえあれば、すぐにでも独立できる商売だったりします。
 
「紙・マスメディアから、Webへの転換期」なんて言われて
もう10年くらい経ってると思いますが、
この転換をうまいことできてる同業者はそんなに多くいません。
要するに、そんなにライバルはいないんです。
だからこそ、こんな僕でも5年やってこれましたし、
会社化してさらに前進する算段もついたわけです。
 
もちろん、厳しい世界であることに変わりはありません。
でも、工夫次第で、まだまだ、活躍の場が広がる仕事でもあります。
競争相手が増えるのは嫌なんで心中複雑ですが、
本当に面白い仕事だと思っています。
 
僕はあと18時間(書くのに2時間かかったw)で社長になってしまいますが、
このクソ長い文章がきっかけで、数年後、フリーのコピーライターとして
活躍する人が生まれたら・・・なんかおごります。

森田 哲生

森田 哲生 | Rockaku代表

1978年/東京都八王子市出身/多摩美術大学美術学部芸術学科卒業
編集プロダクション、広告制作会社などを経て2007年に独立。Rockaku事務所を立ち上げる。コピーワーク、CI計画、コンセプトワークなどを中心に手がけつつ、企業のアドバイザーやセミナー講師などとしても活動中。得意分野は住宅、士業、ネーミングなど。

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