コラム

取材とクリエイティブの話

Rockaku森田です。
月イチくらいで、なにか言葉の話を書いていけたらと思ってます。
「言葉の話」ってなんか、ちょっと変な感じのする表現ですね。なんというか、「お米のごはん」みたいな(伝わるかこのニュアンス?)。

さて、今回のテーマは「取材」です。
世間一般では、取材とか記事の仕事って、ライターの領域で、僕らコピーライターとは切り離されたイメージがある気がするんですけど、Rockakuではサービスの中に「取材・編集・ライティング」というメニューを明確に入れてます。「コピーライター事務所」という看板を掲げているRockakuが、なぜ、ライターの領域だと思われがちな「取材・編集・ライティング」の仕事を、メインの事業のひとつとして継続しているのか。そこら辺の話をしながら、取材とクリエイティブの関係性について紐解いてみようと思います。

そもそもは、創業者である僕が雑誌の編集兼記者からキャリアをスタートしていたこともあって、Rockakuを立ち上げた当初からそういう依頼が多かった。というのもあります。あと、実態として、採用サイトに掲載される社員インタビューなどの取材仕事は、独立系のコピーライターに依頼が来るわりとスタンダードな仕事だったりもします。

そんなこんなで、当初は「取材=安定的に需要がある仕事」だと捉えていたわけです。でも、10年ちょっと前から、その捉え方が変わっていったんですよね。徐々に企業やブランドのコンセプトを言語化するような仕事が増えていった時期、特にテンプレもモデルケースもない中で、手探り状態で仕事を進めていたんですが、そのとき、唯一の手がかりになったのが取材の経験やノウハウでした。

インタビュー記事制作で僕らがフルセットで動く場合、ざっくり以下の様な動き方をします。

  1. 記事を掲載する目的、読者像、読後感を設定する
  2. インタビュー対象が選ばれた理由=その人だからこそ言えることを理解する
  3. 記事構成をざっくり組み立てる
  4. 上記に沿って質問を設計する
  5. 下調べする
  6. 取材する
  7. 記事を書く


案件の状況やメンバーのやり方によって多少差はあるんですが、基本形はこんな感じだと思ってください。元々、このプロセスは、あくまでも「取材・編集・ライティング」のための知見だと考えていたんですが、結局、取材対象が「個人」から「企業」や「ブランド」に変わり、出力が「記事」から「スローガン」や「コンセプト」になるだけで、考え方や構造はかなり共通する部分が大きい!と、いろいろなプロジェクトを手がける中で気づいたわけです。

実際、ユーザーや現場の社員さん、経営者の方へのインタビューから抽出したキーワードや、ブランドコミュニケーションの構造なんかをとりまとめて、コンセプトをつくっていくこともあるので、そもそも取材とクリエイティブって、切っても切れない関係にあったりもします。

特に重要なのは「質問を設計する」という部分。これって、記事制作であっても、なんらかのコピーワークであっても、ネタを探し出すためのキモになる技術なんですよね。

それともうひとつ、例えば、弊社の中尾さんが担当している芦葉工藝舎さんのコラムや、アダストリアさんのオウンドメディアの仕事のように、クライアントさんと長い長い接点が持てる、コンテンツを超えた持続的なブランディング活動に関われるのも、取材起点の記事制作だったりします。あと、小島くんが手がけたクラフィットハウスさんのブランドスローガンも、事の発端は、記事コンテンツ制作でした。

だからこそ、Rockakuでは、取材を全社員共通の基礎的なスキルだと捉えるようにしているんです。ただ、「基礎的」とは言ってますが、それが下であるとか、そういう意識はまったくありません。記事制作の仕事とコンセプトやスローガンの仕事……どちらも大事にしていて、どちらも僕らがやるべき仕事であることはこれからも変わらないと思ってます。

ってなわけで、「取材とクリエイティブ」を一体の仕事として捉えている。という、Rockakuの特徴のひとつをつらつら書いてみました。取材記事も、コンセプトやスローガン開発も、ガンガンやっていきたいと思ってますので、なにかあればお気軽にお声がけくださいませ。