原点から今日も変わらず

僕が絵描きとかモノカキといった、
そういう仕事を目指すきっかけになったのは、
中学生時代、授業中に回して遊んだ
手紙(のようなもの)だった様に思う。


勉強は中の中。
見た目も冴えず、背も低く、
運動も苦手で、協調性もイマイチ。


特に突出した能力もないわりに、
自己顕示欲の強かったモリタ君は、
ある日、「苦しみのカタチ」という作品を、
授業中に発表した。


これは、腹痛を起こし、数々の障害を乗り越え、
やっとの思いでトイレに駆け込み、用を足し、
ホッと一息ついた瞬間に、
「紙がない」という事実に直面したという一連の災難を、
「苦しみの折れ線グラフ」で表現した大作だった。


これは中学生にしてみれば捨て身のネタだったが、
狙い通りの大ヒットだった。

勉強ではかなわないナガイ君や、ナカガワ君、
ミヤモト君たちが、モリタ君に一目置くようになった。


頭があんまりよくなかったモリタ君は、
「ほめられる快感」にあっさりと取り憑かれ、
そこから徐々に、ショートショートのまねごとや、
一コママンガ、教師の似顔絵など、
様々な手法に手を染めていった。

で、深く考えず美術大学に入り、
雑誌をつくり、広告をつくり、WEBをつくっている。


さっき、クライアントから電話があり、
「例の企画書、面白いですね。
 おかげでスムーズに進みそうですよ。
 ありがとうございます!」
ってなことを言われて、普通に浮かれる自分をみつけた。

全身が軽くなる。
もやもやがすっと晴れる。
モチベーションが膨張する。


そう。このお馬鹿さんは、
この15年間、あんまり変わっていないのだ。
自分の単純さに、
なんだか少しあきれたけど、
なんだか安心したりもした。



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